聴覚障害のある子どもたちが手話で授業を受けられるように、群馬大教育学部は2017年度から、手話通訳の資格を持つ教員の養成に取り組んでいる。群馬大によると、福祉系の大学以外で手話通訳者を養成するのは全国的にも珍しいという。 国内で難聴も含めた聴覚障害がある児童・生徒は1万2182人で、そのうち県内は256人(文部科学省の2017年度調査)。重度聴覚障害者の多くが通う県立ろう学校では、研修などで手話を学んだ教員らが授業をしたり、視覚情報で補ったりしている。 補聴器や人工内耳の技術が向上し、残っている聴力を最大限に活用する方法も進んでいるが、近年は手話による授業を重視する流れがある。15年施行の県手話言語条例の実施計画には「ろう学校で手話などを使った各教科指導」が盛り込まれ、前橋市が16年に制定した手話言語条例の推進方針は「学校で手話が必要な児童、生徒らへの支援に努める」と明記した。
聴覚障害のある女性が、5年おきに必要な動物取扱業の登録更新手続きで、大阪府に手話通訳を依頼したのに、手配しなかったのは障害者差別にあたるとして、府が担当職員ら7人を訓告処分などにしていたことがわかった。 障害者差別解消法では、行政機関に負担が重すぎない範囲で障害者の要望に応じることを義務づけており、府は女性に謝罪した。 府によると、女性は府北部で動物取扱業に従事。2016年11月、府の研修に参加した際、翌夏の登録更新の際に手話通訳を手配するよう、環境農林水産部の担当職員に依頼した。 女性は更新時期を迎えた17年7月、この担当職員らに3度にわたって「手話通訳の件はどうなったのか」とメールで問い合わせた。担当職員は同年春に他部署に異動していたため、メールを担当課に転送。現在の担当者は、聴覚障害者に対する過去の対応を確認した上で、「筆談でお願いしたい」と返答したという。
東京都は2018年度、高齢者や障害者が快適に過ごせるようバリアフリーに取り組む宿泊施設への補助を拡大する。20年東京五輪・パラリンピックに向けて誰もが旅行しやすい環境整備につなげる狙い。17年度までは対象外だった1000平方メートル以上の改築にも最大2800万円を出すほか、1000平方メートル未満でも17年度比6倍の金額を助成する。対象となる
状況に応じて障害者を柔軟に支援することで、障害者*1の権利確保に主眼を置く障害者差別解消法が2016年4月に施行されて2年が過ぎた。この法律は障害者の特性や個別事情に応じた「合理的配慮」の提供を行政機関に義務付けているが、「合理的配慮として、どういった支援を提供するか」という点については、障害者と行政機関など当事者同士の「対話→調整→合意のプロセス」に委ねられている分、分かりにくいのも事実である。 本レポートでは、合理的配慮を中心に障害者差別解消法の内容を解説するとともに、自治体の動向やメディアの報道ぶりなどを基に、2年間の動きを考察する。その上で、国に今後、求められる対応として、支援の事例や工夫に関する情報を収集・共有する重要性を指摘する。 最初に重要になるのは「社会的障壁」という言葉である。法律は「障害者」を「身体障害、知的障害、精神障害(発達障害を含む。)その他の心身の機能の障害があ
2018年05月09日 要望・声明バリアフリー すでにメディア等でも報道されておりますが、名古屋城天守閣の木造復元に関して、エレベーターを設置しない方針を5月8日、名古屋市が打ち出しました。私たちはこの方針に強く抗議します。以下、抗議文全文です。名古屋市議会には、要望書を提出しました。 2018年5月9日 名古屋市長 河村たかし殿 特定非営利活動法人DPI(障害者インターナショナル)日本会議 議長 平野みどり 名古屋城天守閣木造復元事業バリアフリー未設置に対する抗議文 誰も排除しない名古屋城を! 私たちDPI(障害者インターナショナル)日本会議は全国97の障害当事者団体から構成され、障害の種別を越え障害のある人もない人と共に生きる社会の実現に向けて運動を行っている障害当事者団体です。 名古屋城天守閣復元事業で名古屋市はエレベーターを設置しない方針を固めたと5月8日に報道されました。「史実に
名古屋市は9日、木造復元を進める名古屋城の新天守閣にエレベーターを設置しない方針を正式に表明した。河村たかし市長の主張する「史実に忠実な復元」に市民からは賛同する声がある一方、障害者団体は反発を強めている。バリアフリー対策について市は「最善の努力をする」としたが、具体像は不透明なままで、今後の議論はなお曲折が見込まれる。■名古屋市「エレベーターなし」基本方針に同日開いた名古屋城の天守閣整備を議
障害のある人に着物の着付けを体験してもらおうと、草津市の市民ボランティア団体が4日、同市大路の「草津川跡地公園de愛ひろば」のにぎわい活動棟で、着付けの体験会を開いた。中には初めて着物を着た人もいたといい、記念撮影をするなど楽しいひとときを過ごした。 ケアマネジャーや着付け師でつくるボランティア団体「spring」が、障害者から「着物を着てみたい」という声を受けて企画。体験会を通じて、障害者の社会参加の促進とともに障害者への理解を深めてもらう目的も兼ねており、市コミュニティ事業団の助成金を活用して開いた。 体験会には、足が不自由な人や精神障害者ら女性12人が参加。ボランティアに手伝ってもらいながら着物に着替えた。中には車いすを利用する障害者用の着物も用意。上半身は袖を通して羽織り、下半身は足からはくという上下2分割に加工した着物で、障害者は車いすに座ったまま20分ほどで着替えることができた
「モナ・リザ」の色を思い起こしたと話す大塚さん 社会福祉法人日本点字図書館(田中徹二理事長、東京都)は11日、立体化した絵画などを展示する「ふれる博物館」を都内に開設した。視覚障害者が作品を手で触って鑑賞できる。第1弾の企画はレオナルド・ダ・ヴィンチ展。広く知られた名画など24点が並ぶ。 「この絵を見た時の色が蘇りました」。都内に住むはり治療師、大塚郁代さん(81)は13日に同館を訪れ、『モナ・リザ』を触りながら声を弾ませた。石こうでできたレリーフは、イタリアのアンテロス美術館が製作したものだ。 もともと美術館めぐりが好きで、40歳頃に全く見えなくなったという大塚さん。その後も美術館に通った。「これまでは説明だけで寂しかったけれど、これなら楽しい」。 展示品は一部を除き、大内進・国立特別支援教育総合研究所名誉所員の所蔵品。中でも『最後の晩餐』は世界に3点しかない希少品だ。絵画のほか自走車な
手話を広める知事の会(会長・平井伸治鳥取県知事)と全日本ろうあ連盟(石野富志三郎理事長)は25日、東京都内でフォーラムを開き、「手話言語法」の早期制定を国に求める共同宣言を採択した。
木造復元する名古屋城天守閣へのエレベーター設置の是非を議論する名古屋市の有識者会議が24日、初会合を開いた。江戸時代の姿の再現か、時代に合わせたバリアフリー化かで賛成派と反対派の主張は平行線をたどったが、河村たかし市長は会合後、「設置すると400年前の姿ではなくなる」と述べ、エレベーター以外の設備でバリアフリー化を進める考えを強調した。市は5月に最終決定するが、障害者らが現天守閣と同様に求めてきた設置は、トップの判断で見送られる公算が大きくなった。 約504億円をかけ、2022年12月の木造復元を目指す市は当初、史実通りに完成するとしてエレベーターを設置しない案を示したが、障害者団体の反発を受けて再検討。この日の「バリアフリー検討会議」で議論を深めるとしていた。 市は会議で〈1〉エレベーターを設置せず、新技術の開発などでバリアフリーに最善の努力をする〈2〉天守閣内部に3階まで上がれる4人乗
精神障害者の家族会で構成する全国精神保健福祉会連合会(本條義和理事長、通称=みんなねっと)は13日、大阪府寝屋川市、兵庫県三田市で精神障害者が自宅で家族により長期間監禁された事件が発覚したことを受け、見解を表明した。家族が社会から孤立し、ストレスを抱えているとして、医療アクセスの改善などが必要だと訴えた。 監禁事件の背景に、「治療を受けることへの抵抗感」「周囲から隠そうとする心理」「病状が悪化したときにとる手段がほとんどないこと」があったとみている。 寝屋川の事件では統合失調症の女性(33)が10年以上監禁された末、昨年末に死亡。三田の事件では精神障害のある男性(42)が20年以上監禁され、今年1月に福祉施設に保護された。 同連合会が4月3日に公表した全国調査によると、日中、家にいて何もしない精神障害者が2割いること、家族の7割が日常的にストレスを抱えていることが分かった。 同連合会は調査
公職選挙法で代筆を担う補助者を選挙管理委員会職員らに限定する規定があるのに、大阪府豊中市選管が、市長選、市議補選、府議豊中市選挙区補選の期日前投票で、先天性脳性まひの男性が投票した際、ヘルパーによる代筆投票を認めるミスがあったことが20日、わかった。 この男性は中田泰博さん(45)。中田さんは、一昨年夏の参院選でヘルパーによる代筆投票を市選管に認められず、投票を断念。「投票の秘密」を保障した憲法15条に違反しているとして、自ら選んだヘルパーの協力で投票する権利の確認などを国に求めて係争中だった。 原告弁護団によると、19日の期日前投票では、ヘルパーによる代筆投票が認められたという。市選管は「現場の職員のミスで、見解を変えたわけではない」と説明、有効投票として扱うとしている。
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