1月末に左右社より3冊目の自著『戦前尖端語辞典』を上梓した。 大正8年から昭和15年に出た30余りの流行語辞典のなかから、今見ても面白い、または意外な驚きのある言葉を集め、語釈を採録し、解説をつけ、当時の文芸作品から用例を引いた辞典風読み物である。 このメールマガジンの読者諸氏なら、大正後期から昭和10年代にかけて流行語辞典が大量に出版されていたことをご存じだろう。 古書店や古本市に行けばよく目にするし、比較的安価なため、書架にお持ちの方もおられることと思う。 パラパラとめくってみると、何しろ語釈が面白くて引き込まれる。 冗談あり、皮肉あり、ときには偏見ありで、辞書というよりコラム集のような感覚で読める。 なかには大して流行していないのに先走って収録したとしか思えない珍妙な言葉があるのもいい。 この面白さを多くの人に伝えたいと考え、本書では語釈をそのまま採録することに拘った。 なぜ大正8年