■研究のきっかけ ―――文化人類学が専攻分野ですが、もともとどういった経緯から今のような関心をもたれるようになったのでしょうか 高校時代にクロード・レヴィ・ストロースの『野生の思考』を読み、80年代のニューアカデミズムの影響を受け文化人類学の研究をしたいと思いはじめました。今から思えば、学生時代は知覚・推論・理解・コミュニケーションといった、ヒトがモノを知るという認知の側面と社会・文化との関係に関心を持っていたのではないかと思います。しかし、20代前半は自分でもよくわかっていなくて、アメリカに留学し、認知人類学者チャールズ・フレイクのもとで学ぶことで認知人類学を学びたいということに気がつきました。 ―――認知人類学という言葉は聞きなれないのですが、留学のときには実際にどのようなことを研究なさっていたのですか アメリカでは、西洋医学における臨床場面で医師と患者の間でのコミュニケーショ