自衛隊が、いま岐路に立っている。組織の進むべき方向を示せない。年功序列と、無意味で形骸化したしがらみに縛られる――。その姿は、そのまま日本社会の姿と重なる。本連載では現役の自衛隊幹部への取材を通して、彼らが直面する根深い課題を浮き彫りにする。 米軍の士官学校との大きすぎる差 「自衛隊の問題は、防衛大学校にその根っこがある」 ある陸上自衛隊幹部はこう嘆く。 自衛隊幹部を養成する日本唯一の教育機関、防衛大学校――。防衛大が抱える矛盾は、自衛隊そのものの矛盾でもある。 「例えば、最近の防衛大卒は前線に立つ戦闘職種をほとんど志望しない。これでエリート軍人の養成学校と言えますか?」 近年、自衛隊で戦闘職種への配属を希望するのは、一般の大学を卒業した幹部候補生ばかりだという。この幹部が続ける。 「防大卒でなければダメだという気は全くないのですが、それなら、防大は一体何のためにあるんでしょうか? 自衛隊