ロトザザの『エチケット』は、カフェやバー、ラウンジなどのスペースで一回につき二人の参加者が体験する約三十分間のパフォーマンスです。観客はいません(まわりの人はパフォーマンスが行われていることにおそらく気づかないでしょう)。 各参加者はヘッドホンをつけ、聞こえてくる指示に従って、台詞を言ったり、用意されているミニチュアの小道具を操作することになります。指示を適切に行動に移すだけで成立するようにこのパフォーマンスはデザインされています。会話は『エチケット』のテーマでもあり、手段でもあります。参加者はコミュニケーションの様々な段階を、とりわけ思考を言葉に移すことの困難さをめぐって、しばしば既存の映画や演劇作品から借りた状況設定を使って演じ/経験します。また、言うべきことを準備せずに話し、相手の返答も会話が向かう方向も予測できないという状況は、気心知れた相手と一緒に参加する/演じることでかえって