ある中小企業が突然、不正輸出のぬれぎぬを着せられました。 捜査した公安警察の手法に疑念が持たれています。 その内幕を明らかにしようと、記者は追跡を続けました。 約1年にわたる取材録をつづります。 連載「追跡 公安捜査」は全10回です。 このほかのラインアップは次の通りです。 第1回 「公安は同じことやる」大川原化工機事件、捜査員が私に語った警告 第2回 公園の植え込みに潜む秘密資料を「拾った」私 まるでスパイ映画 第4回「残された社員の奮闘」 第5回「『利用された』医師の後悔」 第6回「公安の聴取はあったのか」 第7回「調査報道の壁」 第8回「警部補たち異例の直訴」 第9回「長官狙撃事件との共通点」 第10回「正義のありか」 カップラーメンのスープの粉やインスタントコーヒーの粉末、粉ミルク……。 生活に身近な製品が、噴霧乾燥器で製造されていることはあまり知られていない。 化学機械メーカー「
平野貞夫元参院議員は27日の衆院政治改革特別委員会に参考人として出席し、領収書不要の「内閣官房報償費」(官房機密費)について、自身が前尾繁三郎衆院議長(在任1973~76年)の秘書を務めていた頃、前尾氏の私邸に「盆暮れの対策」として一定額が届けられていたと明らかにした。 参考人質疑は政治資金規正法改正論議の一環として実施。平野氏は機密費の使途について問われると、政界入り前に衆院事務局職員として前尾衆院議長の秘書を務めたと説明し、「突然、官房長官が議長の私邸に一定の額、盆暮れの対策として機密費を(現金で)持ってきた」と語った。前尾氏は官房長官が帰った後、「こういうことするから民主主義が育たない」と語り「廊下に(現金を)ほっぽり出した」という。 対応に困った平野氏は現金を袋に入れて国会に持ち帰り、当時の上司に相談した。上司は「4~5年前からそんなことがあるらしい。やらないわけにはいかないから、
枯れたことがない「天王様の井戸」の底からは、あるはずの水が消えていた=岐阜県瑞浪市で2024年5月21日午後3時39分、真貝恒平撮影 井戸の底に浮かび上がる幾多のひび割れは、水源に恵まれた地域に走った衝撃を物語っていた。JR東海が進めるリニア中央新幹線事業の前に立ちはだかるのは、静岡県の水問題だけではない。リニアのトンネル掘削工事が行われていた岐阜県瑞浪市では2月、個人用の井戸やため池など計14カ所の水位低下が発覚した。瑞浪市の現場を歩くと、水枯れした井戸を前に立ち尽くす住民の姿があった。【真貝恒平】 <主な内容> ・井戸は信仰と豊かな水源の象徴 ・トンネル工事一転「即時中断」 ・「リニアのメリットない」 ・JR東海の対応「検証が必要」 名古屋市中心部から車で約65キロ。今月21日、いくつかの山あいを抜けると、のどかな田園風景が広がる盆地の瑞浪市大湫(おおくて)町にたどり着いた。稲が植えら
自民党派閥の政治資金パーティー裏金問題の震源地となり、解散を決めた安倍派(清和政策研究会)の所属議員が水面下で動きを活発化させている。憲法改正をはじめとする政策の勉強を名目とした会合が相次いで開かれ、再結集に向けた動きと見る向きもある。安倍派で今、何が起きているのか。 築地会合 「安倍晋三元首相のご遺志である憲法改正を、我々の手で実現しなくてはならない」 5月9日夜、東京・築地にある水炊きが名物の料亭に、安倍派所属の17人が集まった。主催したのは衛藤征士郎元最高顧問。防衛庁長官や衆院副議長などを歴任した保守派の重鎮だ。 表向きは、自身が会長を務める憲法改正を目指す議員連盟の会合で、出席者は改憲に向けた連携強化を確認した。衛藤氏は取材に「意見交換したまでだ」と強調した。 だが、関係者によると、会合の案内が届いたのは安倍派議員のみ。安倍派は、解散を決めた2月1日の議員総会を最後に大規模な会合を
2023年に開かれた国民体育大会(かごしま国体)の総合開会式で入場行進する選手団=鹿児島市の鴨池陸上競技場で同年10月7日午後3時47分、平川義之撮影 戦後の混乱期に始まり、今年で78回目となる国民スポーツ大会(旧国民体育大会、国スポ)が岐路を迎えている。全体の9割近くにあたる42都府県知事が何らかの見直しの必要性を指摘した毎日新聞のアンケート結果からは、スポーツ振興という大会の意義を認めつつも、負担軽減や時代に合った形への変革を求める各知事の意向が鮮明に表れた。スポーツの祭典はどうあるべきなのか。 「大きなイベントを生かすも殺すも都道府県次第」。国民スポーツ大会と改称後初めての本大会開催を10月に控える佐賀県の山口祥義知事は、4月26日の記者会見でそう述べた。佐賀大会では、観戦の楽しみを広げようとナイトゲームや競技ごとの最優秀選手(MVP)の表彰制度を始める。「漫然と同じ形ではなく新しい
バイデン米大統領は1日、首都ワシントンで講演し、日本を中国やロシアと並べて「外国人嫌いで、移民を望まないから、(経済的な)問題を抱えている」と述べた。複数の米メディアが報じた。11月の大統領選に向けてアジア系米国人らの献金を募るイベントでの発言で、移民の貢献を強調する狙いがあったとみられるが、4月に岸田文雄首相の国賓待遇の訪米で緊密さをアピールした日米関係に水を差す発言となった。 バイデン氏はアジア系の支持者らを前に「米国の経済が成長している一因は、あなた方にある。我々は移民を歓迎しているからだ」と強調。「中国の経済がひどく失速しているのはなぜか。日本やロシアが問題を抱えているのはなぜか。彼らが外国人嫌いで、移民を望まないからだ」と指摘した。 イベントは5月がアジア系、ハワイ系、太平洋島しょ系の「文化遺産月間」に当たることから企画された。非公開だったが、バイデン氏の講演部分は米メディアの同
2025年大阪・関西万博の開幕まで1年となり、会場の夢洲(ゆめしま)では大屋根「リング」(右)などの建設工事が急ピッチで進む=大阪市此花区で2024年4月13日、本社ヘリから それ、ほんまにもうかりまっか? 東京オリンピック・パラリンピック約32兆円(2021年)▽阪神タイガースとオリックス・バファローズの「関西ダービー」約1449億円(23年)――。いずれも、過去の大規模イベントの「経済波及効果(経済効果)」として算出された数字の一例だ。関係費用が増額を繰り返した25年大阪・関西万博は2兆円、いや3兆円とも。一体どんな仕組みなのか。 「(大阪)府域の経済効果を人口で割ると、府民1人当たり23万8600円になります」。3月の大阪市議会都市経済委員会で、万博推進局の担当者が答弁すると、質問した大阪維新の会の男性市議は胸を張った。「夢のある数字だ。…
記者会見で質問に答える立憲民主党の泉健太代表=国会内で2024年4月19日午前10時48分、平田明浩撮影 立憲民主党の泉健太代表は19日の記者会見で、日本維新の会の馬場伸幸代表が立憲を非難する発言を繰り返していることについて「相当焦りがあるんじゃないか。焦りがあるから発言がどうしても乱暴になってしまう」と述べた。 馬場氏は16日に衆院東京15区補選の維新新人の応援演説で「立憲に投票しないで」と呼び掛け、18日の記者会見では「立憲はたたきつぶす必要がある」と述べるなど、立憲を名指しした発言を続けている。 泉氏は、馬場氏が会見で「プロ野球で例えるなら、日本シリーズで自民党と戦う。今はその前のクライマックスシリーズを(立憲と)やっている」と話したことを踏まえ「我々はすでに自民党と戦っている。日本シリーズ中にクライマックスシリーズの話をされても乗りかねる」とかわした。 社会人野球「補強選手」で連携
大阪・関西万博開幕1年前イベントで、会場サービスアテンダントのユニホームを着て登壇した(左から)西村宏堂さん、小嶋花梨さん、桐山漣さん=東京都港区で2024年4月13日午後3時15分、北山夏帆撮影 2025年大阪・関西万博の開幕まで1年となった13日、日本国際博覧会協会(万博協会)が東京都内で開いたイベントで、会場サービスアテンダントが着用する公式ユニホームを発表した。 案内所で来場者の問い合わせに答えたり、来賓のアテンドや通訳を行ったりするスタッフのユニホームは、白を基調とし、公式キャラクターのミャクミャクを大きく胸元にあしらった左右非対称のベストが特徴。青、緑、赤の3色のTシャツ、パンツと巻きスカートから自由に組み合わせて選ぶことができる。 いずれも植物由来の素材を採用し、環境に配慮。シューズはリサイクル素材を使用したという。 ユニホームのデザインは公募で513点の中から選ばれた。万博
新年度が始まって10日あまり。街を歩けば、真新しいスーツを着た新入社員の姿がまぶしく映る。しかし、本人に代わって企業側と交渉する「退職代行」サービスの現場では、すでに新卒者からの依頼が相次いでいる。「入社前と話が違うのですが……」。多くはそう切り出すという。 「あんな会社とは話できない」 各地で入社式が行われた1日、東京都大田区の「アルバトロス」が運営する「退職代行モームリ」の電話に、さっそく新入社員からの依頼が舞い込んだ。「あんな会社とはもう話ができません。退職代行をお願いします」。美容関係の企業に就職したという20代女性の声は怒りで震えていた。 女性は入社前、髪の色は自由だと聞かされていたが、入社式直前に黒に染めるよう指示された。拒否すると、入社式に出席させてもらえなかった。そのままモームリに電話をかけて退職の手続きを進めてもらい、今は新しい就職先を探しているという。 モームリは弁護士
「17年ゼミ」の集団の一つ「ブルード10」。2021年に発生したもので今回とは別の集団=米インディアナ州で、ロイター 米国の中西部から南東部で初夏にかけ、1兆匹を超すセミが大量発生すると専門家が予測している。13年と17年ごとに地上に出てくる「周期ゼミ」の二つの集団が羽化するタイミングが221年ぶりに重なるためだ。米メディアは、英語でセミを意味する「シケイダ」と終末戦争を指す「アルマゲドン」を組み合わせた「シケイダゲドン」という造語を使い、迫り来る神秘の自然現象に注目している。 セミは枯れ木などに産みつけられた卵がふ化して幼虫になり、地中に移動して何年かを過ごす。成長した幼虫はやがて地上に出て羽化し、成虫になる。日本に生息するセミが地中にいる期間は数年程度といわれる。一方、米国には13年と17年ごとに羽化するセミが複数の地域に生息し、周期が素数であることから「素数ゼミ」とも呼ばれる。
記者会見で次期衆院選不出馬の意向を表明した自民党の二階俊博元幹事長=東京都千代田区の同党本部で2024年3月25日午前10時36分、竹内幹撮影 次期衆院選への不出馬を表明した自民党の二階俊博元幹事長(85)が25日の記者会見で、年齢に関する記者の質問に「ばかやろう」などと不快感を示す場面があった。 二階氏は党本部で開いた記者会見で、二階派(志帥会)の元会計責任者が政治資金パーティー収入の虚偽記載で在宅起訴されたことについて「政治不信を招く要因となったことに、深くおわびを申し上げる」と陳謝。次期衆院選に出馬しない意向を表明した。 その後、記者から「不出馬を決めたのは政治資金パーティーの不記載の責任を取られたのか、それともご自身の年齢の問題なのか」と問われると、ぶぜんとした表情で「(出馬について)年齢には制限があるか」と記者を問いただした。 記者は「制限はない」と答えたが、二階氏は怒りが収まら
公職選挙法違反で起訴された柿沢未途被告=自民を離党=の辞職に伴う衆院東京15区補欠選挙(4月16日告示、28日投開票)に、カジノを含む統合型リゾート(IR)を巡る汚職事件の1審で実刑となった自民党元衆院議員、秋元司被告(52)=控訴中=が出馬する意向を固めた。今月22日に東京高裁で2審判決を控えているが、有罪、無罪にかかわらず出馬するとしている。秋元元議員が取材に明らかにした。 元議員は2019年12月に収賄容疑で東京地検特捜部に逮捕され、保釈中の20年8月には証人を買収しようとしたとして組織犯罪処罰法違反容疑で再逮捕された。東京地裁は21年9月、懲役4年、追徴金約758万円の実刑判決を言い渡した。その後も議員を続けたが、同10月の衆院選には出馬しなかった。 元議員は一貫して無罪を主張しており、「自分が発端となった混乱を、自分で収めたい」と出馬の理由を語った。近く正式に出馬表明し、2審で無
東京オリンピック・パラリンピックを巡る談合事件で、独占禁止法違反(不当な取引制限)に問われた広告大手「博報堂」(東京都港区)に対し、検察側は18日、東京地裁の公判で罰金2億円を求刑した。一連の事件で企業側への求刑は初めて。同じく独禁法違反に問われたグループ会社「博報堂DYスポーツマーケティング」(同)前社長の横溝健一郎被告(56)は懲役1年6月が相当とした。判決期日は後日指定される。 検察側は論告で、横溝前社長ら各社の担当者は、組織委員会元次長=独禁法違反で有罪確定=と結託して総額約437億円に上る契約で談合したと言及。公正で自由な競争による選定を骨抜きにし、人々が五輪に抱いていた公正さへの信頼を損ねたと述べた。博報堂は談合対象の二つの会場を受注して約45億円を売り上げ、約7億8700万円の利益を得たことも指摘した。 これに対して弁護側は最終弁論で、横溝前社長が組織委元次長と面談し、受注希
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