エレベーターを降りて参拝スペースに進み、空きブースの手前にある端末にICカードをかざす。すると内部で搬送装置が作動し、バックヤードからICカードにひも付いた骨壺と銘板がブースに運ばれてきて、来訪者の目の前に「○○家」のお墓が出現する。存分に手を合わせたり故人と対話したりしたあと、終了ボタンを押せば骨壺と銘板はまたバックヤードに戻っていく──。 四半世紀前に登場した自動搬送式納骨堂 「自動搬送式納骨堂」が誕生したのは1990年代の終わりの頃だ。立体駐車場に近い仕組みを使うことで、ビルの内部に霊園を開くという斬新なアイデアが方々で話題となった。 利便性の高さが評価される一方で、発表された当時は「故人の遺骨をクルマと同じように扱うのはいかがなものか」「ずっと動かしていたら永遠の眠りにつけないのではないか」といった声が少なからず上がった。現在でも抵抗の声はゼロにはなっていないし、後述するように醜聞