「鶏肉があれば、チキン南蛮とカレーが作れる」「タマネギも必要だな」。8月のある日、沖縄本島中部にあるなじみのスーパーにやって来たスミレさん(16)=仮名=は、メニューを考えながら、買い物かごをいっぱいにした。母と祖母との3人家族で、2週間分の食費は5千円以内。会計を済ませると、強い日差しが降り注ぐ中、両手に大量の食料を抱え、約20分かけて歩いて帰宅した。 ■小さな肩にのしかかる負担 母が好きなお菓子は買ったけれど、自分が欲しかったタピオカは「お金が足りなかった」から、我慢した。同居する祖母にはサツマイモを。「きんぴらに入れたらおいしいって喜ぶから」。家計を管理するスミレさんが優先するのは母と祖母だ。片道約200円のバス代も「もったいないから」と往復を歩く。夏場は特に汗だくだ。両腕には買い物袋が食い込んだ跡が数日残る。 50代の母は、スミレさんが幼い頃からパニック障害を患う。毎日のように動悸