前の前の木曜日から、おれは抑うつ状態にあった。倦怠感のなかにあった。一週間くらい続いた。それがどうしたことだろうか、この週末、土曜日のいつからか、あるいは日曜の目覚めからか、すっかり抜け出したようになった。まだ、抜け出したかわからない。わからないが、ともかく無理をせず起きることができて、普通に手足を動かし、歩行もできるようになった。 大きな台風が来た。それに対するザワザワしたした気持ち、あるいは、世間がザワザワしている気配。そんなものが、おれを抑うつから連れ出したように思える。台風でたいへんな被害を受けた人には申し訳ないが、どうもそういう気もする。おれの安アパートは押しつぶされることもなく、雨戸だけ閉めておけばどうということもなかった。ニュースを見て、このあたりとすれば箱根の大雨に、あるいはその後の北の方の被害を見ながら、なにか、おれはおれの抑うつを忘れるようでもあった。 「抑うつの気が去