8月25 濱口桂一郎『家政婦の歴史』(文春新書) 8点 カテゴリ:社会8点 『新しい労働社会』や『ジョブ型雇用社会とは何か』(ともに岩波新書)などで、日本の雇用システムの歴史や問題点をえぐり出してきた著者ですが、今回は「家政婦の歴史」というかなり小さな話を扱った本になります。 ところが、「家政婦」という1つの職業の変転の中に、日本の労働政策の大きな転換とそこで隠されてしまった矛盾点が見えてくるのが本書の面白さでしょう。 女中と家政婦、似たようなことをしているように見えてその出自は違い、しかし、その出自の違いはGHQの占領政策によって見えなくなってしまう…、このように書くとミステリーのようですが、本書はそうしたミステリーとしても楽しめると思います。 目次は以下の通り。 序章 ある過労死裁判から第1章 派出婦会の誕生と法規制の試み第2章 女中とその職業紹介第3章 労務供給請負業第4章 労