「少女小説」と聞いて、どんなイメージが浮かぶだろうか。 77 年から79 年にかけてデビューした氷室冴子や久美沙織、田中雅美、正本ノンの「コバルト四天王」、新井素子が活躍した70年代末から80年代のコバルト文庫、あるいは90年代の前田珠子、若木未生、桑原水菜、小野不由美、須賀しのぶらによるファンタジー小説、はたまた2000年代に大流行した『マリみて』(今野緒雪『マリア様がみてる』)や『まるマ』(喬林知『今日からマのつく自由業!』[正しくは○の中にマ])や、ずっと遡って吉屋信子や西條八十を想起する人もいるだろう。 もちろん2010年代以降も広義の少女小説には友麻碧『かくりよの宿飯』、山口悟『乙女ゲームの破滅フラグしかない悪役令嬢に転生してしまった…』、辻村七子『宝石商リチャード氏の謎鑑定』、クレハ『鬼の花嫁』等々たくさんのヒット作、重要作が生まれている。 本邦における少女小説100年以上の歴