『ザリガニの鳴くところ』 上空を低く覆う暗雲が、先を争うように鉛色の海からバークリー・コーヴへと押し寄せていた。初めにやってきたのは強風で、風はガタガタと窓ガラスを揺すり、次々と波をぶつけて埠頭を水浸しにした。桟橋につながれたボートは上へ下へとおもちゃのように波間を跳ね、黄色いレインコートを着た男たちは船を守ろうとあちこちのロープを縛ってまわった。 分厚く読み応えのある本でした。 雲や、樹木や、空気や匂い・・・それらの描写が素晴らしく、私もこの湿地に共に降り立っているように感じるのです。 『ザリガニの鳴くところ』 ザリガニの鳴くところ 作者:ディーリア・オーエンズ早川書房Amazon あるとさんの記事で知りました。 spring211.hatenablog.com 「おおお読みたい!!」 と思って図書館に行き、T司書さんに 「ザリガニの・・・」 と言うや、彼女は、 「ああっ!!」 と声を出