日本のエンタメ小説で最大の賞と言えば、直木賞と本屋大賞。 名誉なら直木賞(なにしろ受賞するだけで"直木賞作家"という肩書が一生使える)、売れ行きなら本屋大賞(100万部の本は200万部に! 洩れなく映像化!)という感じですが、史上初めて、この2つの賞を両方とも獲ってしまった本がある。 それが、恩田陸『蜜蜂と遠雷』。 構想12年、取材11年、執筆7年と、おそろしく長い時間を費やして完成した500頁超の大作だ。浜松国際ピアノコンクールをモデルにしたコンテストを軸に、人生を賭けて競うピアニストたちの群像劇を、それこそスポーツ小説のような臨場感と迫力で描き出す。本の分厚さにたじろぐかもしれませんが、読み出したら止まらないおもしろさは保証します。 不可能と言われた映画化も実現し、10月4日に全国公開。コンクールでしのぎを削る主要登場人物(括弧内はキャスト)を簡単に紹介すると、 ・5歳で天才少女として