残虐なテロで世界を震撼させた過激派組織「イスラム国」(IS)。最盛期にはイラク、シリアの領土の一部を実効支配し、一般市民を斬首したり、人質に生きたまま火をつけたりして殺害し、女性を性奴隷にするなどの蛮行を繰り返した。2015年1月には日本人ジャーナリストらも犠牲になり、こうした凄惨さは日本人にも大きな衝撃を与えた。イラクでの最大拠点だったモスルが2017年に陥落し、勢力は衰えたとされるが、さまざまな事情で「イスラム国」に関わった人たちが各地で隔絶され、今も孤立した状況にあるという。イラクで20年以上、人道支援を行う高遠菜穂子さんの実態調査に同行した。(文・撮影:ライター、ディレクター・伊藤めぐみ/Yahoo!ニュース オリジナル 特集編集部) 故郷を離れ 郊外の荒地が残された「居場所」に過激派組織「イスラム国」がかつてイラク側の拠点とした北部の街・モスル。その南西の郊外の地区に、コンクリー