「ヒプノシス」というデザイン集団をご存じだろうか。仮にその名は知らなくても、ピンク・フロイドの「牛」とか「プリズム」のジャケットと言えば、知らない人はほとんどいないはずだ。 ヒプノシスとは、ストーム・トーガソンとオーブリー・パウエルが立ち上げ、1970年代を中心にイギリスを拠点に活躍した、主にロックミュージャンのレコードのジャケットをデザインする集団で、ピンク・フロイド、レッド・ツェッペリン、ポール・マッカートニーなど、数多くのビッグネームの作品を手がけた。実は、松任谷由実の『昨晩お会いしましょう』や『VOYAGER』などのジャケットもヒプノシスによるものだ。 ヒプノシスのオリジナルメンバー、ストーム・トーガソン(右)とオーブリー・パウエル(左)。 ヒプノシスのデザインは、表ジャケにアーティスト名やタイトルを入れないなど、それまでのレコードのカバーアートの概念を覆すもので、そのアイデア、斬