※本記事中に性暴力に関する記述があります。 2024年10月24日、注目していた裁判の一審判決が言い渡された。判決までに要した時間は4年――。その間の1日、1日が、被害者にとってどれほどの苦痛を強いられるものだったか。 被告は「社会福祉法人グロー」(滋賀県)元理事長、および「社会福祉法人愛成会」(東京都)元理事の北岡賢剛氏だ。氏による長期間、幾度にも渡る性暴力、ハラスメント被害をうけた原告2名は、北岡氏と「社会福祉法人グロー」(以下、グロー)に対し、法的責任と損害賠償を求めて提訴した。 結果として東京地裁(野口宣大裁判長)は、北岡氏に220万円、「グロー」に440万円の支払いを命じる判決を言い渡した。 裁判の過程で繰り返される二次加害や、人権感覚をアップデートできない権力者とその周囲の「黙認」による構造的暴力、法制度の不備や消滅時効の捉え方など、この裁判が社会に問いかけるものは多岐にわたる