鈴木光司さん=種子貴之撮影 地球生命の歴史を植物視点で眺めたら ――ホラーファン待望の『ユビキタス』がついに刊行されました。まずはこの物語を着想した経緯を教えていただけますか。 あとがきにも書いたとおりメインテーマは植物です。植物は地球生命の全重量の99パーセント以上を占めているにもかかわらず、生命の歴史においてほとんど無視されてきた。『旧約聖書』でも植物はノアの方舟に乗せてもらえないんですよ。そのせいか多くの人は、植物は優しくて無害なものというイメージを抱いているけど、これはとんでもない話で。植物こそ生命の進化を操ってきた主役ともいえる。「地球生命の歴史を植物視点で眺めたらどうなるか」という発想が、物語の出発点になっています。 ――そうした発想法はホラーよりもSFに近いような気がします。鈴木さんの作品には実際『らせん』『ループ』のように、科学を下敷きにした作品が多いですね。 当時はホラー