10月1日に施行される障害者虐待防止法は、虐待を見つけた人に通報を義務付け、国や自治体に虐待防止の責任を負わせた。これまで進まなかった早期発見への期待が高まる一方、対応する側の人員整備など問題は少なくない。病院や学校での虐待も通報義務の対象とすべきだとの意見も根強く、課題も抱えてのスタートとなる。【野倉恵、大久保資宏、岡奈津希】 この法律を有効活用するための鍵を握るのは、相談や通報の受け皿となる自治体だ。厚生労働省によると、通報先となる「虐待防止センター」について、4月末時点ではどう整備するか未定の市区町村が6割に上っていた。 「人の手当てはなく、今の体制で担当部署に看板を置くだけ。緊急性の有無や保護すべきかどうかを判断するには相当な力量が必要だが、障害者の生活相談などで手いっぱいのケースワーカーがどれだけ手厚く対応できるか分からない」。近畿の政令市福祉事務所の担当職員はこう打ち明ける。