今年4月、鳥取市で「書店員の聖地」と呼ばれた名物書店が閉店した。全国各地で急速に姿を消している「町の本屋」。この動きは地域にどのような影響をもたらすのか。ノンフィクションライターの三宅玲子さんが取材した――。 「書店員の聖地」と呼ばれた名物書店が閉じた 6月25日、私は鳥取県立図書館にいた。定有堂書店という鳥取の名物書店の閉店を惜しむイベントが開かれるのだ。書店の閉店を図書館が惜しむというのは、きわめて珍しい。 定有堂は4月に43年の営業を閉じた、書店員の聖地と呼ばれた独立書店だ。そして図書館が主催するフォーラムに、店主の奈良敏行さんが登壇することになっていた。 演題は『定有堂書店「読む会」の展開 ―街の読書運動の可能性―』。 筆者は2019年秋から1年半ほど、全国の独立書店をめぐる連載のため、北海道から九州まで書店を訪ねた。その取材をもとにした本をこの秋に出版する準備をしている。 本を求