9ヶ月たった。人から「なぜ電通を辞めたのですか」と、ひっきりなしに訊かれる理由がだんだんわかってきた。 私が、なにもしていないからだ。 違う会社に再就職したり、自分で会社を始めたりしていれば、「ああ、それがやりたかったのですね」と説明しなくてもわかってもらえる。 ところが私ときたら、無職だ。私と名刺交換した人なら知っているが、ほんとうに【青年失業家 田中泰延】と書いてある。「どうやらこのオッサン、将来のことを考えてないぶりは本気だ」と相手が理解したあたりから、しぜんと疑念は 「電通はあなたにとってそんなに嫌なところだったのですか?」 に移行する。 きょうはちょっとマジにその辺りの話をしたい。しかし断っておくが、私は古巣のことを悪く言うつもりはサラサラない。逆に、大きな、悲しい事件があり、いろいろな社会的制裁を受け、変革を余儀なくされている電通という会社をことさらに擁護する立場にもない。 そ