4畳半の部屋に置いてあったガラクタを全部売り払い、最後に残った掃除機で念入りに部屋中のホコリを吸い上げると、部屋の中には俺と掃除機だけになった。 西日が差し込んでくる。わけもなく涙がこぼれた。 よくある話だ。 上京した馬鹿がなにもかもを無くして田舎へ帰る。 東京にはこんな話が腐るほど転がっているわけで珍しい訳ではない。 しかし一人で来た男が一人で帰る、それだけのことなのにこんなにも寂しいのはなぜだろう。 俺は無意識にぬくもりを求めて、傍らの掃除機に抱きついていた。 部屋中のホコリを吸い上げたそいつは、まだほのかにぬくもりを帯びていた。 そういえば上京して初めて買った家電はこいつだ。 引越ししたての部屋があまりにも汚くて、近くのハードオフで中古のこいつを買って来たのだった。 そんなこいつを捨てるがあまりにも忍びなくて、知り合いに500円で引き取ってもらった。 掃除機のぬくもりを感じながら、長
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