「民主的な憲法というのは『不磨の大典』ではないのだから、不断に改正を検討し、また個別的に不都合な条項を改めてゆくということは当然だという一般論-それはその限りで正論ですが-と現実にわれわれに投げかけられてきた改憲問題とのレヴェルを混同してはならない。後者の政治的核心はあくまでアメリカの戦略体制の一環としての日本再軍備にあったし、今でもあるということを、あらためて確認しておくことが必要だ」(丸山眞男「憲法九条をめぐる若干の考察」) 丸山眞男がこう指摘したのは、40年以上も前であるという。しかし改憲問題が“再び”現実となりつつある現在も、その指摘はいささかも本質を外していないようだ。 丸山眞男と互する、すごい論者が現れた(と、言えるほどに丸山眞男を読んでいないのだが…)。「改憲問題」(ちくま新書)の著者、愛敬浩二氏は1966年生まれで、アカデミズムの世界ではまだ若手の部類だろう。 改憲論の欺