外交におけるリベラルとはいかなるものか。一般的には国際協調主義などが想定されるであろうが、日本では歴史認識問題なども重要な要素であろう。しかし定義を試みた結果が、現状を分析するに際して有用かといえば、そうとも限らない。日本の文脈ではリベラルとは見なされないであろう安倍晋三政権も「積極的平和主義」を掲げ、韓国政府と従軍慰安婦問題で解決に向けた合意に達している。 そこで本稿では、冷戦後における日本の主要政権の外交を特徴づけることで、リベラルと想定される要素が日本の文脈ではどのような形で可能であり、それが時にいかなる困難や課題に直面したのかを考察する。いわば近い過去の歴史的文脈の中にリベラルを見出す試みであり、そこから冷戦後の日本外交が本来持っていた議論の幅広さを想起することが可能になるであろう。 対象とする「近い過去」としては五五年体制が終わる一方で北朝鮮核危機が顕在化した細川護煕政権から始め
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