学校で転んでけがをしたら、保健室で消毒をしてもらう−。そんな光景がなくなりつつある。外科医の中で主流となっている「傷口は流水で洗い流す。消毒液は使わない」という応急処置法が、教育現場でも浸透してきたからだ。 傷、消毒せず、乾かさず 治りが早い「湿潤療法」 ただ、家庭では「傷口にはまず消毒液」との認識が根強い。消毒液を使わない小学校では、児童や保護者を安心させるため、さまざまな工夫もなされている。 福岡市博多区のある小学校の保健室を訪れると、処置台に消毒液は一本も置かれていなかった。養護教諭によると、3年ほど前から原則として傷に消毒液を使わなくなったという。 代わりに置かれているのが「まほうのみず」。養護教諭は「流水で洗い流した後に、魔法の水で消毒をするように洗ってあげると、子どもたちは安心する」と話す。中身は、実は普通の水道水だ。低学年の子どもたちのために、半年前から始めた工夫という。