→紀伊國屋書店で購入 「寄る辺のなさ」を埋め合わせるものは何か いま、人々は日々を生きる中で、「寄る辺のなさ」の感覚を強めている。この「寄る辺のなさ」(=流動化・不安定化=「プレカリテ」)の根には、生活を成り立たせる物質的基盤(雇用や収入)が揺らいでいるという現状がある。でも、この「寄る辺のなさ」を、そういった物質的な側面から捉えるだけでは不十分だ。人間の存在のあり方そのものにかかわる精神的な面での「寄る辺のなさ」を解読し、分厚く正確に記述する営みがもっと必要だ。 日本では、ごく最近まで、あるいは現在も、社会の中で特に「寄る辺のない」状態にある人々に対して、「それはあいつらが駄目な奴らだからだ」という語り方がされることが多い。たとえば「ニート」もそうだった。「ニート」は意欲や自信がなく一歩を踏み出せない「駄目な奴ら」として語られてきた。私はそういう「ニート」バッシングに抗うために、『「ニー