しかしながら、残念ながら、私を含めて、現実のCIOなり情報システム部門責任者の仕事の実態は先に書いた通りです。「開発過程にあるシステムが引き起こす様々な問題の対応」に大変な労力を費やしてしまう。はっきり言って、CIOをやっていた時、私の時間の7割から8割がこの問題に費やされました。場合によっては、CIOとしての任期期間一杯を、トラブル対応、つまり「稼働予定までに完成しない」、「当初予定の費用では収まらない」、「期待されたように動かない」といった問題の解決に振り回されてしまいます。自社で抱えている情報システム群を経営の次元から俯瞰して、自分達の情報システムがうまくいっているかいないかという、いわゆるITガバナンスの仕事になかなか時間を割けない。ITの戦略利用となると、さらに時間が取れないのです。 ITの責任はITベンダーが負う 経営者のIT理解を妨げ、CIOを忙殺する、システム開発の不確実