私は旅行が嫌いだ。観光というものにあまり興味をひかれたことがないし、まず長距離の移動にともなう長時間の拘束に耐えられない。その距離を、何か自分の人生における成長の尺度と勘違いしたような「自分探し」的な思考も理解不能だし、わざわざ海を越えずとも、近所のまだ知らない風景を探して歩いたり、会話を交わしたことのない隣人にふと話しかけてみたりでもしたほうが、その後の人生においてはるかに有意義な体験になる気がする。 そんな旅行嫌いの人間が、さる6月、ロンドンへ3泊5日の旅を余儀なくされた。ピーター・ガブリエルが約20年ぶりのオリジナル・アルバムを発表し、10年ぶりのコンサート・ツアーを開催するというニュースが飛びこんできたからである。 2013年の《Back to Front Tour》より「Mercy Street」 その詳細を確認するまでもなく、公演予定地のリストに日本が含まれていないだろうことは