生物はときとして「利他的行動」をとることがあります。たとえば、粘菌やイースト菌などの酵母でさえ涙ぐましい互助の精神で助け合ったり、このサルモネラ菌の一種のネズミチフス菌のように仲間の菌のために「さぁ自分を食べてくれ」と、捕食者に身を投げ出したり自殺(アポトーシス)したりするわけです。 細菌だけじゃない。こうした助け合う行動は、鳥類やほ乳類でもあるし、もちろん我々人間の社会にも現れます。利他的な行動では、一方は利益を得るけど一方は何らかの見返りを期待して犠牲になったりする。その利益も、すぐにやり取りできるわかりやすいものばかりじゃなく、子どもが育った後とか集団の目的を達した後とか、効果が出てくるまでに時間差があります。時間差があっても忘れない「恩義」のようなものが、細菌にもあるんですね。 利他的な行動では利益も得ますが、その代わりリスクやコストもかかります。だから、利他的な行動をする集団には