■はじめに2013年12月6日に、特定秘密保護法(以下「本法」)が成立しました。この法律について私は個人的には大変問題の多い法律だと思っていますが、ここではその内容については触れません。ただ、この法律に関する議論を見ていると、大変気になることがありました。それは、条文の読み方です。 本法第12条2項1号に「テロリズム」に関する定義があり、次のような条文になっています。 「政治上その他の主義主張に基づき、国家若しくは他人にこれを強要し、又は社会に不安若しくは恐怖を与える目的で人を殺傷し、又は重要な施設その他の物を破壊するための活動をいう。」 特定秘密保護法をめぐる議論において、この「テロリズム」の定義を誤って読んでいるケースが少なくありません。たとえば、『世界』の851号(2014年1月1日号)149頁に次のような文章が掲載されています。 「次に『テロリズム』ですが、これは2つの要件からなっ