財務省の発表した9月の経常収支は、季節調整後で1252億円の赤字になった。これは統計の連続性のある1996年以降で最大である。 図を見れば明らかなように、日本の貿易収支は2011年から赤字になり、所得収支がそれを補う形になっている。しかし原発の停止による燃料輸入の増加などで、貿易赤字が急速に拡大した。原発停止は向こう10年近く続くので、短期的な要因ではない。日本は今後ずっと経常赤字になるおそれが強い。 経常赤字そのものは、人間が年をとると若いときの貯金を食いつぶして借金で生活するようなもので、必ずしも悪いことではない。問題はその借金が維持できるかどうかだ。マクロ経済的には「輸出-輸入=貯蓄-投資」だから、 経常黒字=貯蓄超過-財政赤字 家計貯蓄率は高齢化によって間もなくマイナスになる見通しなので、財政赤字が拡大すると経常収支もマイナスになるのは当然だ。もともと2020年ごろには赤字になると