実験ノートはきちんとつける、他人の資料を勝手に丸写ししたり画像データを改竄しない。科学者として当たり前のことのはずだが、小保方晴子氏の研究倫理は社会通念と異なり、このずれが不正を生んだ。 科学者への倫理教育は難しい。多くの研究機関は成果主義で、若手の研究者を指導する人々は研究の実績作りに忙しい。苦労して倫理教育をしても業績にはならず、専門に取り組む人材も不足している。 若手側も、論文の執筆本数で評価が決まる傾向があるため質より量を重視しがちになる。短時間で数多く書かせるため、コピペ(コピー・アンド・ペースト=切り張りによる丸写し)を推奨する教授もいる。 何を教えるかも問題だ。米カリフォルニア大ロサンゼルス校では、医学部の大学院生にカントの著書を読ませているが、これでは哲学の授業になってしまう。かといって、「悪いことをしてはいけません」では小学生並みで話にならない。 私は大学院で、韓国のヒト