Vol. 61 No. 8 ‒ 11 ‒ パテント 2008 アニメの著作権 第 1 章 全体像 (1)はじめに いまや日本の代表的な文化として世界に認識される ようになった「アニメ」ですが,アニメ作品を著作権 の視点から見た場合,外からは分かり難い権利構造が 存在します。その理由として,(ⅰ)一つの作品が完 成するまでには原作者,監督,脚本家,音楽担当者, 原画担当者,動画担当者,背景美術担当者,声優…… といった多くのクリエーターが関わること,(ⅱ)ア ニメ作品は映画の著作物であるために著作者と著作権 者が一致せず,アニメ制作会社のほか TV 局やスポン サーなどが資金面で関わってくるためビジネスモデル が複雑で著作権者の認定がさまざまであること,(ⅲ) 昔のように TV 放映の放映権料や劇場公開時の入場料 収入に限られることがなく有料放送や DVD などの記 録媒体による映像