ホステスと会社経費で楽しく飲みたいというモラルハザードを起こした――。 そんな呆れるような内容の指摘を歴代社長2人に突きつけられた企業がある。埼玉県さいたま市に本社を置く世界的レンズメーカーのタムロンだ。高品質な自社ブランドレンズには定評がある。業績はカメラのミラーレスシフトを追い風に絶好調だ。 ところが2016年から社長の座にあった鯵坂司郎氏が、2023年8月に突然辞任。同時に常務取締役だった大塚博司氏が常務を解職され、ヒラの取締役になった。理由は、内部通報をきっかけとして鯵坂氏による会社経費の私的流用が発覚したことにある。大塚氏は鯵坂氏の行為に加担していた。 11月2日、弁護士と独立社外取締役で構成された特別調査委員会による調査報告書が公表された。そこで明らかになったのは鯵坂氏、さらには2002年から2016年まで鯵坂氏の前任社長だった小野守男氏の時代から続く「社長のモラルハザード」だ