つい先日のことだ。パラパラと大粒の雪が降る夜、高そうな中華料理屋の奥にそいつが座っていた。 ダボダボの服に、ふてぶてしい座り方、室内だというのにかぶったままのニット帽子、帽子からこぼれるくしゃくしゃの髪。 まるで窪塚洋介だ。だからこれからそいつのことをクボヅカと呼ぶ。 クボヅカは、僕を見るなりこういった。 「けいちゃん(仮称)かーwwはっじめましてーーwww」 僕は心の底から思った。ビックバンしろ。 先に断わっておくが、僕はシスコンではない。 まぁ確かに一般的に見ると美人なほうであったし、同級生からも紹介しろ紹介しろとうるさく声をかけられるような姉であった。 しかしなんといっても性格が最悪。気が強くて乱暴でがさつで、幼いころから喧嘩ばかりしてた。 また思春期になると顕著になったお互いの差、リア充な姉と文学オタクな僕の馬が合うはずもなく、ある時期を境に家庭内ではほとんど会話していなかった。