ヒマラヤの標高7,600メートル地点は、世界で一番安全な場所なんですよ。世界のどこかでテロが起きたり、時折遠くでゴーという雪崩の音が聞こえたりしても、僕らはベースキャンプでラーメンをぐつぐつ作って、音楽かけて、風が吹いて、陽が射してくる。そこでは、誰からも攻撃を受けることはない。太陽に一番近い場所だから、陽が昇るとすべての活動が始まるというか、「生きてる」ってことが実感できる。 ヒマラヤには現地のシェルパたちと一緒に登るんですけど、彼らの儀式で、テントに「祈祷旗」を張って、プジャというお祓いをやるんです。黄色や緑や赤や白など色とりどりの祈祷旗に、宗教文字がビッシリ書いてある。それを吊るしただけで、グラグラして今にも崩れそうな岩でも絶対に動かない。雪崩も来ない。守られるんです。不思議ですよね。 若い時からずっと、食事をする「時間」が無駄だなぁと思っていました。自転車や登山、砂漠でのカーレー