段落のスタイルについて検討します。 1. 目的 段落のスタイルでは、段落全体をどのような大きさで、どのような種類の文字(フォントファミリー)で、どのように配置するかなどを指定します。段落の配置において考慮することは、段落と段落の間をどの程度空けるか、段落の先頭をどのように処理するか、段落の行の左右字上げ・字下げ、揃え(中央・左右)、段落の先頭や末尾の行が次の頁に1行あるいは1文字だけはみ出したときにどうするかなどです。 XSL-FOやCSSのようなスタイルシートの仕様では、様々な段落スタイル指定機能があります。しかし、XSL-FOやCSSは、このスタイル指定機能をどのように使いこなすべきかということは決めていません。使いこなしはあくまで指定する側に委ねられています。 CAS-UBのような本を作るためのツールでは、適切な段落スタイルを簡単に指定できるようにするのが大切です。段落スタイルは本の
PDFの表示はデフォルトではページ単位のレイアウト状態ですが、リフロー表示もできます。 ○Adobe Readerでリフロー表示するには: 「表示」→「ズーム」→「折り返し」 また、PDFにはタグ付きPDFという仕様があります(ISO 32000-1:2008の14.8節)。タグ付きPDFは、構造情報を表すための標準のタグ(XHTMLの要素に相当)を定めるものです。 タグは、グループ化要素、ブロックレベル要素、インライン・レベル要素、イラスト要素に分類されており、次のようなタグを決めています。 1)グループ化要素 Document, Part, Art, Sect, Div, BlockQuote, Caption, TOC, TOCI, Index, NonStruc, Privateがある。PDFが完全な文書を含むならばStrucTreeRootは、唯一のDocumentを含む。部分的
「12月18日JEPAセミナー「電子書籍実務者は見た!」。泥臭い話の中から見える今後の方向」の続きです。 このセミナーの趣旨は、「現在の電子書籍(EPUB)の制作と流通向けのリリースは、紙の制作のワークフローの上に、EPUBの制作のワークフローが載っているので、大変効率が悪い。」そのことについて声を上げるとのことです。 もう一つ現実の問題として、現在、「紙とEPUBの同時発売が求められている」が、EPUBが発売されないか、EPUBの方が遅れがち、ということが切実になっているようです。この二つは必ずしも、同じ問題ではありません。ワークフロー以外に権利者や版元の考え方があるのは周知のことです。 ここでは、とりあえず、紙とEPUBの同時発売をどのように実現するか考えます。紙と電子の同時発売を実現するために解決すべき課題には、EPUB制作のワークフローの効率化と共通の項目が沢山ありそうですから。
デジタル出版物(EPUB、PDF)をワンソースマルチユースで制作するワークフローについて考えて見ます。 先日Facebookで(https://www.facebook.com/kotaro.soryu/posts/580833075321422)で大変参考になる議論がありました。次に、Facebookの意見を参考にしながらもう少し考えてみました。 「ワンソースマルチユースの進化が遅い」(高木さん)というコメントがありました。確かに、そのとおりと思います。ワークフローを実際に動かすには関係者の学習が必要であり、また、システム化するとシステム構築のコストがかかるため、なかなか簡単には切り替えることができません。WYSIWYGがかなり急速に普及したのと比べると、ワンソースマルチユースの進化が遅いのは、システムコストの側面と、利用者の慣れ・学習の側面があるように思います。 「学習コストは別として
縦組みで、章・節・項番号、図表番号、箇条書き番号などに、アラビア数字とラテンアルファベット(英数字)を使う時、章・節・項番号の区切り文字に何を使うかは悩ましい。 中点・半角中点を使うのが無難だが、全角(em)ダッシュ・半角(en)ダッシュを使う時も多い。章・節・項などの番号が漢字なら良いのだが、アラビア数字を使うと、アラビア数字の形と区切り文字の位置・形の関係でなんとなくバランスが悪く感じる。 番号付箇条書きで番号の後ろに区切り文字を付けるときはさらに悩ましい、と日ごろ思っていた。ところが、昨日次のような使い方を見つけた。 次の写真は『新版 大学生のためのレポート・論文術』(小笠原 喜康、講談社現代新書、2009年11月20日発行)の目次である。 図1 目次 縦組みの本で章・節・項番号をこのような区切り方をしている本は珍しい。 本書を読むと、章・節・項の区切り方について次のような説明がある
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