「我々の本人確認が不十分だった」(NTTドコモの丸山誠治副社長)――。 NTTドコモの決済サービス「ドコモ口座」の不正利用に端を発した不正出金事件では、「本人確認」という言葉が記者会見などで何度も飛び交った。 だが、日本において「本人確認」という言葉が意味するところは明確とは言えない。NTTドコモも記者説明会で「(銀行とNTTドコモの間で)本人確認のレベルについて共通認識があったのかどうか、甘かった面がある」と認めている。 日本の法律用語としての本人確認は「身元確認」とほぼ同義だ。運転免許証やパスポートなど身分証(本人確認書類)の提示を求め、本人の氏名や生年月日、住所などを確認する。 対面での確認に加え、身分証のコピーと転送不要郵便を組み合わせて確認する手法や、アプリで本人の顔と身分証の画像データを送信してもらう手法(eKYC)もある。法律に基づく厳格な本人確認なしに、銀行は新規に口座を開