「なんだ。やっぱり、世界中の人たちが、ちゃんとご飯を食べられるだけの食料はあるじゃないの」 1960年代後半、食料問題を研究していた20代半ばの一人の若き女性が、カリフォルニア、バークリーの大学図書館でつぶやいた。彼女の前には、膨大な穀物のチャート図や国連の農業統計、方程式が広げられていた。だが、どんな計算をしても結論は同じだった。 「天災ではなく、人々の行動が世界的な飢餓を引き起こしている」 この発見が、彼女の目を開かせた。だが、その結論は、60年代当時にはあまりにユニークなものだった。ベジタリアンや有機農業や健康食品への関心もいまほど高くなく、多くの賛同は得られなかった。だが、批判や疑問をぶつけられながらも、彼女には自分の考えが地球上の数百万人もの苦しみを解決する一助になることがわかっていた。 「どんなに脅されたり、笑われたりしても、黙っているよりはましです」 彼女は、自分の言葉