<医学部定員増に反対する韓国医師のストが続いている。特権を失いかねないエリートの彼らが反対するのは合理的なのだが、執拗な闘争には歴史的な背景がある> 「列に入れよ われらの味方に砦の向こうに世界がある 戦え それが自由への道」 響き渡るのは、ミュージカル『レ・ミゼラブル』の看板曲「民衆の歌」。声を張り上げるのは貧しい労働者、ではない。 3月3日、韓国の首都ソウル市永登浦区の汝矣島(ヨイド)公園。大韓医師協会、日本で言えば日本医師会に当たる組織の集会に、尹錫悦(ユン・ソンニョル)政権の「医学部定員2000人増員」に反対する2万人もの医師が集まった。その後も医師たちによる大規模ストライキが続き、医療現場では混乱が起こっている。 では、韓国の医師たちは『レ・ミゼラブル』の民衆のような貧しい生活を送っているのか。OECDの統計によると、2021年の韓国の医師平均年間報酬額は19万2000ドル(購買
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