幸せな未来は「ゲーム」が創る [著]ジェイン・マクゴニガル ゲームは、現実逃避だとしてよく非難される。でも、善行や努力の報いが明確でない現実にくらべ、ゲーム界での善行はすぐに結果が見える。つまらない作業や勉強や共同作業もゲーム仕立てなら楽しくなる。だからゲームを敵視せず、現実改善に役立てよう、と本書は主張する。 事例は豊富だが、有益なゲームもあるというだけなら旧聞。本書の妙味は、目的性や努力の結果が不明確だから「現実は壊れている」(原題)として、それが明確なゲームこそ正しい姿とした、ゲーム中心主義とも言うべき世界観にある。従来の、「ゲームだって役にたつからいじめないで」的な卑屈さから一転、ダメな現実をゲームで直してやるという剛毅(ごうき)さは天晴(あっぱ)れ。 むろんまだすべてゲームですむほど現実は甘くない。が、予想外の現実がゲーム化できているのも事実。すると本書は単なる開き直りの大風呂敷