「江戸の遺伝子」徳川恒孝著 PHP刊 発 私は、本書「江戸の遺伝子」を読んで、 「信長志向」は空間軸志向(戦国という時間軸を止める志向) 「家康志向」は時間軸志向(鎖国により空間軸を限定しての志向) ではないかと仮説しました。 江戸時代の政治や経済や生活文化がいかに、既存パラダイムを成熟させる仕掛けに満ちていたか、うまくシナジーを発揮するように構成されていたかを具体的に知ると、そのように整理できるからです。 このことは、おいおい本書を引用して具体的に検討していきます。 私は、 本来的な美点を備えた「日本型の集団独創」が現代社会において衰頽した根本的な原因は、 直接的には以上のような「江戸的な人々の心や精神的な文化」の衰退にある、つまり「家康志向」の形骸化であると実感しています。 これはひとり企業社会の問題ではなく日本社会全体の問題ですが、とくに本書を読んで、「家」という枠組みが戦後の核家族