2009年04月10日01:37 カテゴリBooks トレードオフを否定する人々 趣味の悪い邦題がついているが、原題は"Trade-offs: An Introduction To Economic Reasoning And Social Issues"。経済学は複数の目的のトレードオフの中から何を選択するかを考える学問だが、世の中にはそういう相対化を否定し、特定の目的がすべてに優先すると主張する人が多い。 特に多いのが、本書も指摘する「命は何よりも尊い」というレトリックだ。建築基準法が過剰規制だというと、「人命のために企業活動が制約されるということが池田先生には許せないのだと思います」などとからんでくる弁護士がいる。彼らはこのように人命と企業活動のトレードオフを考えること自体を許さず、人命が絶対だと主張する。それなら自動車も飛行機もすべて禁止しなければならない。 アメリカでは医療過誤訴