『平成のヒット曲』は名著です。1989年から2018年までの30年間を年毎に代表する1曲と、社会的な意味を浮き彫りしていくという困難な作業を見事にやりきっています。 平成の日本人にとっての価値をヒット曲から紐解く 音楽関係者や音楽ファンだけで無く、日本社会全体を視野に入れて、音楽の価値や意味を語る「ジャーナリスト」として、柴くんは貴重な存在です。前作『ヒットの崩壊』で、ベストセラー作家になった彼は、音楽ライター、編集者としてキャリアを積み上げてきた人です。 本作は、ジャーナリストとしての誠実を突き詰めたがために、アカデミズムの分野でも意義がある本として、長らく読み継がれることになるでしょう。平成30年間の日本人にとっての意味を、ヒット曲を軸に考察するという営みにエールを贈りたいです。音楽愛と客観的に俯瞰した視線の両立は簡単にできることではありません。是非、たくさんの方に読んでいただきたいで