コロナ禍により、経済的困窮に陥った寺が破綻し、空き寺になってしまう無住寺院問題が深刻化している。ジャーナリストで僧侶の鵜飼秀徳さんは「廃虚となった寺院はYouTuberや海外ブローカー、反社的集団の格好の標的になる恐れがある。こうした問題を重視した国は、今秋、12万平方メートルという広大な境内地を持つ島根県の空き寺を国有化した」という――。 この1年の仏教界は激動であった。 新型コロナウイルスの感染拡大が長引いた影響で、特に京都や奈良、鎌倉などの拝観寺院における収入は大きく減少したとみられている。オミクロン株の感染が広がれば、来年2022年も引き続き、多難な状況が続きそうだ。寺院環境の悪化は、つまるところ「空き寺」の増加につながる。その一方で、深刻化する空き寺・空き神社問題に一石を投じる「宗教法人の国有化」という大きなエポックが、今年秋に実現していた。 地元のお寺がなくなると困るのは… 経