所得が増えるごとに税率も上がるという「累進課税」は一般的な税の仕組みである。その一方で、所得が一定を下回ると税負担が増える「逆進課税」は格差拡大を助長するものとして避けられなければならない。 しかし、国税庁が8月31日までの期間で意見募集(パブリックコメント、パブコメ)を始めた「所得税基本通達」の一部改正案が、逆進課税的であるとして物議を醸している。 具体的には、副業の収入が月額25万円を下回る会社員の副業所得にメスが入る。サラリーマンで副業を行っている人の収入が年間300万円を下回る場合は、原則としてその所得を税務上の融通が効きやすい「事業所得」ではなく、ほぼ融通の利かない「雑所得」とするというものである(そのため、副業をしていないサラリーマンは増税とならない)。 この規制案の最も大きな変更点は、他の所得区分と「損益通算」ができなくなることである。仮に副業が「雑所得」に組み分けられてしま