日曜劇場『VIVANT』(TBS系)が盛り上がっている。本作の舞台となっている「バルカ共和国」は架空の国だが、撮影地であるモンゴルの地理・文化・社会をモデルにしながらも、制作者がさまざまな改変を加えることで生み出されたと考えられる。わかりやすくいうと、「モンゴルに似せながらも、モンゴルではない国」——それがバルカ共和国だ。 筆者は、モンゴルで長年フィールドワークを行ってきた、文化人類学を専門とするモンゴル研究者だ。この記事では、モンゴル研究者の視点から、本作の舞台「バルカ共和国」がいかにして創造されたのか、推理していきたいと思う。前編では「地理」や「衣装」から読み解ける『VIVANT』とモンゴルとの関連を紹介してきたが、まだまだこれだけでは終わらない。二階堂ふみの発音が印象的な「言語」、二宮和也のノコルがもつ「意味」、堺雅人のある行動に驚きを隠せない「食事」、そしてこの『VIVANT』とい