「女性の隷属」を維持するもの そこから著者は、ミソジニーを、「素朴理解」ではなく、「家父長制秩序を支える機能をもつ」「人を支配するためのシステムの一形態」として理解するべきだと主張する。 著者によれば、家父長制とは、社会や時代によってさまざまに異なった制度であるものの、「女性という女性、またはほとんどの女性を、その内部の特定の男性あるいは男性たちとの関係において隷属的な立場に置く」ような制度であるという。 特定の男性(例えば父や夫)との関係において隷属的な立場に置かれるにすぎない場合でも、女性は男性に対して不利な立場におかれるので、その社会で男性は女性よりも優位な地位を占めるようになる。このような家父長制秩序を支える社会統制機能こそ、ミソジニーの機能であり、それは家父長制という女性を支配するシステムの重要な構成要素なのだと、著者は言う。 この概念変更の利点は、まず、先に挙げた無差別殺人のよ