★★☆☆☆ 自閉症の青年・淳一と女の子、老夫婦を軸に展開する小説です。 随所に現れる淳一のこだわりエピソードの描写の細かさから、施設の人か親かどちらかだなぁと思っていたらやはり、作者は自閉症の息子の親でした。文章全体から啓蒙思想が強く感じられます。 自閉症を知る入門書として2002年時点では最適だったかもしれません。老夫婦の夫、ちょっと説教気味な園長先生は作者の心理を一番投影した人物だと思います。私はこの園長先生のセリフ、ところどころ違和感をもちました。 「自閉症の人の場合、特に子供の頃はそんな状態なんだって、ボクは思うようにしている。いろんなことがどうにもならなくて、仕方なく自分の世界の中に楽しみを見つけることしかできない。それが自分の中に閉じこもっているように見えるから、他の病気と同じように受け取られてしまう」(P106) ~しかできない??仕方なく???? なんでそんな上からなん?