【連載第3回:ウクライナ反転攻勢の行方】 ロシアによるウクライナ侵略は、開始から1年半を迎えようとしているが、現時点で停戦して和平交渉に入る意志は、ウクライナとロシアの双方に存在していないのが現実である。 仮にロシア軍がウクライナ国内に残る状況で停戦交渉を行えば、ロシア軍が態勢を整えて再侵攻を準備する恐れもある。このため、一人でも多くのロシア兵を国境外まで押し出した状況でなければ、停戦交渉は意味を持たないというのが、ウクライナ側の支配的な認識となっている。 一方のロシア側は、2022年10月に東部・南部4州とクリミアがロシアに「併合」されたという「領土上の新たな現実」をウクライナが認めることが、ロシアがウクライナとの交渉に応じる大前提であるという立場を崩していない。これらの地域の放棄を前提とした交渉をウクライナが受け入れる誘因は極めて小さい。 「平和の公式」とはなにか ゼレンスキー大統領は