耐震性を十分調査しないまま、大阪市住之江区の旧WTCビル(現・大阪府咲洲(さきしま)庁舎)を購入して大阪府に損害を与えたとして、市民団体「おおさか市民ネットワーク」のメンバーら82人が12日、松井一郎知事を相手取り、前知事の橋下徹・大阪市長に同ビルの購入費や移転費など96億3000万円を返還させるよう求める住民訴訟を、大阪地裁に起こした。 訴状などによると、橋下市長は知事時代、府本庁舎(大阪市中央区)を同ビル(55階建て、256メートル)に全面移転する構想を表明し、一昨年6月、市側から約85億円で購入した。しかし昨年3月の東日本大震災時に壁など約360か所が損傷し、専門家から揺れに対する弱さを指摘されたため、全面移転を断念。現在は第2庁舎として使われている。 今回の提訴について、橋下市長は報道陣に「議会で議論し、賛成を得たが、たまたま震災で問題が生じた。将来のことまで予測できない。移転反対